バッタもん日記

人生は短い。働いている暇はない。知識と駄洒落と下ネタこそ我が人生。

2012-01-01から1年間の記事一覧

日本の主食は本当に米なのか その1

1.はじめに 食育や食料自給率とも関連しますが、「日本の主食は伝統的に米である。日本人はもっと米を食べるべきだ」という意見があります。 私も基本的にはこれに賛成です。日本は米を完全自給できています(加工用米を除く)。それどころか、余ってどうし…

科学と経済を軽視したら……

先日、畜産物に含まれる放射性物質の安全性や低減に関するシンポジウムに参加しました。 参加者の大半は研究者や技術者でしたが、少し雰囲気の違う集団がいました。思い詰めたような表情が見て取れましたので、恐らく「市民グループ」だろうと予想は付きまし…

カルチャーショックな学会とエビデンスと農業の生きる一つの道 その1 園芸療法って何?

(1)はじめに 先月、岐阜市で開催された日本園芸療法学会の大会に初めて参加しました。この学会は日本語の会誌を発行しており、査読審査制度も設けているようですが、規模は小さく、日本学術会議に登録していないので、現段階では「自称学会」に過ぎません。…

産経新聞の開き直り記事から邪推するマスメディアの意識の低さ(続)

前回の記事の続きです。野球で例えると、ある球団はドラフトでもトレードでも投手を全く獲得しない。代わりに野手に投手をさせることでしのいでいる。それも、見所のある(投手としての可能性がある)野手を投手として鍛え直すのではなく、順繰りに野手に投…

産経新聞の開き直り記事から邪推するマスメディアの意識の低さ

読売新聞がiPS細胞に付いて大誤報をやらかしたことで、新聞の科学報道に対するスタンスが注目されております。また、科学の世界では世界最高水準の学術誌の一つであるNatureが、日本のマスメディアの科学報道のレベルの低さを酷評しています。 参考:科学報…

比嘉照夫の大嘘理論 「抗酸化作用」

相変わらずEMの猛威が吹き荒れています。 親玉の比嘉照夫の言っていることは科学的にデタラメだらけですが、全てを批判することは私の手に余りますので、手に負える部分だけ少し批判してみます。比嘉によると、EMの作用の特徴は「抗酸化作用」にあるそうです…

疑似科学における「個人の自由」「自己責任」という欺瞞

以前にも書きましたが、疑似科学信奉者は批判されると、「個人の自由」「自己責任」という言葉を持ち出して自分の行為を正当化し、批判を無視します。これは正しい態度なのでしょうか。 私は全くそうは思いません。なぜならば、疑似科学に傾倒した人間は必ず…

疑似科学が教育現場に入り込む理由

EMが全国各地で教育現場に導入され、定着していることが大いに懸念されています。これに関連して、タイトルに記した「疑似科学が教育現場に入り込む理由」について実感したことを述べます。先日、とある学会の大会に参加しました。よくある名前ばかりのイン…

「批判する前に自分でもやってみろ」という詭弁

既に色々な方が述べていますが、疑似科学信奉者は、立証責任を転嫁する傾向が非常に強いと見られています。 有名なところでは、疑似科学批判者として知られるアメリカの心理学者、テレンス・ハインズ博士は、疑似科学信奉者の特徴として、検証を拒否すること…

漫画「バンビ〜ノ!」のミスに感じた「料理の定義」の難しさ(続)

先週に引き続いて漫画「バンビ〜ノ!」がミスを出しましたので、再度これにかこつけて食の歴史に関する駄文を書きます。前回はジャガイモでしたが、今回はトウガラシでした。トウガラシもジャガイモと同じく南米を起源とする作物で、ヨーロッパに導入された…

漫画「バンビ〜ノ!」のミスに感じた「料理の定義」の難しさ

小学館の週刊誌「スピリッツ」に「バンビ〜ノ!」という漫画が連載されています。イタリア料理店を舞台とした若い料理人の成長譚です。今週号で見逃せないミスがあったので記事にします。劇中ではトマトの致命的な病気が世界的に大流行してトマト生産が壊滅…

比嘉照夫の特大ブーメラン

先日EM資材に農地の放射性物質を減らす効果がないことを書きましたが、予想通り信者のみならず親玉である琉球大学名誉教授の比嘉照夫氏が結果を強引に曲解して自信たっぷりにEM資材の効果を喧伝しています。 比嘉照夫氏の緊急提言 甦れ!食と健康と地球環境 …

EM菌は放射性物質を減らさない

福島県は土壌にEM菌資材を投入したら放射性物質が減少するかどうかを圃場試験により検証していましたが、その結果が公表されました。 農用地等における「民間等提案型放射性物質除去・低減技術実証試験事業」試験結果について(第2報)(福島県農林水産部)…

TPPと農業についてもう少し

一口に農業と言っても、色々なケースがあります。品目:米、野菜、果物、畜産…… 地域:平野部、中山間地域、都市近郊…… 形態:専業、兼業、販売、自給…… 経営:家族、法人(企業)…… 販売:JAのみ、直販…… 志向:地域、日本全国、海外輸出……当然の話ですが、…

TPPと農業について少し

農業・農学の世界では、昨年あたりからTPPの話で持ちきりです。意外に思われるかもしれませんが、農学研究者の間では、TPP賛成派も少なくありません。賛成派・反対派の意見を少々乱暴にまとめてみます。賛成派 ○「強い農業」を目指すべき ○日本農業には外圧…

腐らない野菜の恐怖

明日から園芸学会(野菜・果物・花の学会)に参加します。私は研究者ではないので発表を見るだけです。質問は必ずしますが。そのため、強引ですが野菜について少々書きます。農薬や肥料を全く使わない「自然栽培」「自然農法」なるものが根強い支持を受けて…

「奇跡のリンゴ」は大嫌い

木村秋則氏の「奇跡のリンゴ」で検索してこの日記にたどり着く方がいるようなので、ちょっと書いてみます。 昨年の8月に少し触れましたが、私はこの人物はただの嘘つきだと思います。 ワサビや食酢を使っている時点で完全に「無農薬」の定義から外れますし、…