バッタもん日記

人生は短い。働いている暇はない。知識と駄洒落と下ネタこそ我が人生。

比嘉照夫の特大ブーメラン

先日EM資材に農地の放射性物質を減らす効果がないことを書きましたが、予想通り信者のみならず親玉である琉球大学名誉教授の比嘉照夫氏が結果を強引に曲解して自信たっぷりにEM資材の効果を喧伝しています。
比嘉照夫氏の緊急提言 甦れ!食と健康と地球環境
この文章中で、いくつか見過ごせない点があります。

「EM発酵標準堆肥の量について、多すぎるのではないかという素人の批判もあるが」と書いています。私も多過ぎると思います。土壌・作物の種類などの条件により投入する堆肥の量は変動しますが、堆肥の成分から考えると、投入量は明らかに過剰です。
参考:
肥効調節型肥料を用いたキャベツの全量基肥畦内局所施肥技術(岩手県)
諫早湾干拓における年内どり秋冬ハクサイ並びに冬キャベツに対する窒素肥料削減法(長崎県)
診断施肥と被覆肥料を組み合わせた、コマツナ、ホウレンソウの硝酸塩低減化技術(埼玉県)
堆肥の肥料的効果を考慮したコマツナ及びニンジンの化学肥料窒素50%減肥栽培(千葉県)
これらの資料によると、野菜栽培では窒素肥料は10-30kg/10a程度施用するのが一般的のようです。ところが前回紹介した福島県の試験では、何と150kg/10a以上も施用しています。これは土壌学・肥料学の常識に反します。本当に専門の研究者なのでしょうか。

放射能で汚染され使用が禁止されている雑草やイナワラや畜産廃棄物等々の有機物をEMで発酵処理すれば普通の堆肥を作る期間よりも更に早く、安全なレベルに下げる事も可能」、「EMを活用している農家においては、既に常識化しており、今更、試験をする必要もない」とも書いています。
これは科学者の言葉とは全く信じられません。「微生物が放射性物質を消滅させる」という現象は、仮に事実ならば既存の科学を根底から覆します。「常識」では全くありません。このような重大な件について、「試験をする必要もない」などと断言する人間に科学者の資格はありません。

「今回の、EM発酵堆肥を活用した成果の評価に、素人学者が参入する余地は全くない」とも書いています。調べた限りでは、比嘉氏は著書は多数ありますが、学術論文は極めて少ないようです。これでは科学者とは言えません。
論文を書かずに書籍を書くのはインチキ科学者の典型です。

比嘉氏は批判者を「素人学者」と罵倒していますが、何のことはない、「素人学者」とは自分自身に他なりません。