バッタもん日記

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飼料稲・飼料米 その1 概略

今回は何回かに分けて飼料稲・飼料米の解説をします。なお、ここでいう「家畜」とは牛を指すとお考え下さい。まずは、概略を説明します。

(1)飼料の分類
家畜の飼料は大きく粗飼料と濃厚飼料に分かれます。
粗飼料とは、わかりやすく言うと「草」です。一方の濃厚飼料とは、「穀物」です。粗飼料はその名の通り栄養価は低いのですが、草食動物である家畜本来の食べ物なので、必ず食べさせる必要があります。濃厚飼料は本来の家畜の餌ではないのですが、栄養価が高いため、肉や乳などの畜産物の品質・生産量を確保するためには欠かせません。穀物を食べさせないと霜降りの牛肉は作れませんし、毎日50kgの牛乳を搾ることもできません。

(2)飼料稲・飼料米の違い
飼料稲は稲全体(もみと茎・葉)を利用するので、粗飼料に分類されます。一方、飼料米はもみ(米)の部分だけを利用するので、濃厚飼料に分類されます。大した違いではないように思えますが、育種(品種改良)においては大きな違いとなります。
飼料稲は茎・葉が大きくなるように改良されます。もみはあまり重視されません。ところが、飼料米ではもみが大きくなるように改良されます。茎・葉はあまり重視されません。
実際は中間型の品種も多いので、厳密には分けられません。食べるのは人間ではなく牛ですので、あまり味を考慮する必要がなく、ひたすら収量(面積当たりの収穫量)を増やす方向で改良が進められています。

(3)なぜ米を餌にするのか
身も蓋もない言い方をすると、米の消費量が減り、米が余ってどうにもならなくなっているからです。何とかして食用米の生産量を減らさなければならない。しかし、転作奨励による減反にも限界がある。ならば、人間ではなく家畜に食べさせよう、という話です。他にも理由は色々ありますが、後日詳しく説明します。

次回は、飼料稲・飼料米の餌としての特徴を説明します。