バッタもん日記

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飼料稲・飼料米 その2 作物としての特徴1

言うまでもありませんが、飼料稲・飼料米とは稲の1種です。「コシヒカリ」や「あきたこまち」のような食用米とは、品種が違います。今回は、飼料米・飼料稲の作物としての特徴を説明します。

(1)栽培
食用米に比べて大型化するので収穫用の機械には調整が必要ですが、食用米の栽培設備・施設である水田・用水路・機械などがそのまま使えます。これは大きなメリットで、水稲から麦や大豆に転作するより時間も費用も大幅に節約できます。

飼料稲・飼料米の栽培はまだ歴史が浅いので、栽培技術の蓄積は十分とは言えません。
例えば、一部の品種は食用米に比べて既存の除草剤に弱く、除草剤を散布すると最悪の場合枯れてしまいます。新たな除草剤の開発と、除草剤耐性の強化を目指した品種改良が必要です。

日本の農業は農薬漬けだとよく批判されますが、この責任のかなりの部分は消費者にあります。日本人は農作物の見た目にこだわり過ぎるのです。ほんの僅かな傷や形の悪さが理由で、農作物の市場価値は大きく下がります。
例えば、食用米では「斑点米」がよく問題になります。これは、カメムシが針のような口を米に突き刺して汁を吸った跡が黒いシミのようになる現象です。斑点米が混じると米の見た目が悪くなるため、米の価格は大きく下がります。斑点米を防ぐために、殺虫剤や除草剤が使用されます。
詳しくはこちらをご覧下さい(宮城県)。
家畜は米の見た目など全く気にしないので、斑点米防除はあまり必要がなくなり、農薬のコストや散布の手間が省けます。また、一般的に飼料稲・飼料米は食用米に比べて他の病気や害虫にも強いため、減農薬が可能であるとされています。
詳しくはこちらをご覧下さい(山口県)。

(2)肥料
飼料稲・飼料米は食用米より大型化します。その分、より多くの肥料を必要とします。飼料米・飼料稲は畜産業とセットになるのが通常です。家畜の餌になるのですから当然です。そして畜産業に付き物なのが、家畜堆肥です。日本全国どこでも家畜堆肥は余り気味で、処理と利用に四苦八苦しています。食用米より多くの肥料分を投入可能な飼料米・飼料稲は堆肥の受け入れ先として貴重です。ただし、肥料を与え過ぎると稲の背が高くなりすぎて倒れてしまいますし、土壌や地下水を汚しますので、やり過ぎは禁物です。