バッタもん日記

人生は短い。働いている暇はない。知識と駄洒落と下ネタこそ我が人生。

耕作放棄地 その2

先週後半は日本農業経営学会に参加していたので更新ができませんでした。今回は耕作放棄地の対策を考えます。

(1)防止
当たり前ですが、耕作放棄地ができないようにすることです。何らかの形で農業を行い、農地として維持していくのが理想です。
(1-1)集落営農
農家単独ではなく、地域全体で人手や機械を共同で利用し、作業の分担を行うことがあります。こうすることで、労働力不足による耕作放棄を防げます。早い話が、地域全体が一つの農家になるようなものです。農作業ならびに経営の効率化、農村社会の維持などメリットが大きいので、全国的に広がりつつあります。地域が一体となれば、地域ブランドを生み出したり、生産・加工・販売まで行う6次産業化を図ることも可能となります。
(1-2)大規模農家への農地提供
自分で耕作できないのならば、規模拡大を計画している農家に提供して耕作してもらおうということです。私が大規模水稲農家に直接聞いた限りでは、コストの問題から規模拡大の際には購入より借地により農地を広げるのが一般的のようです。土地の所有者は借地代が手に入り、借主は手軽に規模拡大ができます。ただし、当然ながら大規模農家は条件のいい農地しか利用しないので、条件の悪い農地の耕作放棄を食い止めるのは難しいと言わざるを得ません。
また、規模拡大の最大のメリットは作業効率の改善であり、農地間を移動するのは時間とガソリンの無駄なので、大規模農家はできるだけ農地が一か所に集まること(農地の集約)を望みます。耕作放棄地はモザイク状に不規則に発生することが多く、条件のいい土地であっても大規模農家が耕作を引き受けてくれるとは限りません。
(1-3)用途の変更
今までと同じ農業を続けていては農地を維持できないので、違う方法を用いることです。できるだけ時間やコストがかからない方法が求められます。
(1-3-1)家畜の放牧
前回説明したとおり、耕作放棄地では瞬く間に雑草が繁茂します。雑草を放置していては農地としての利用が困難になりますので、植生を管理しなければなりません。家畜を放牧して育てれば、雑草を食べさせることで農地を維持でき、また畜産物を販売できるという二重のメリットがあります。この場合、用いられるのは肉専門の黒毛和牛が一般的です。
問題点は、家畜の管理に意外に時間やコストがかかること(逃げ出さないようにとか、他人の農地に入り込まないようにとか)、放牧で育った牛の肉は赤身主体になり、安くしか売れないことが挙げられます。
事例;
http://www.maff.go.jp/j/nousin/tikei/houkiti/h_jirei/pdf/6_06.pdf
http://www.pref.shimane.lg.jp/chusankan/kenkyu/nogyo/hoboku/hobokugyu.html
(1-3-2)エネルギー作物
サトウキビやトウモロコシを栽培して発酵させバイオエタノールを生産する方法です。茨城大が取り組んでいます。
バイオエタノール事業はまだまだ補助金頼りのところがあり、事業としては難しい(つまり儲かりにくい)のが大きな問題です。原油が値上がりすればエタノールの燃料としての価値が相対的に上がるので、事業として成立する可能性はあります。