バッタもん日記

人生は短い。働いている暇はない。知識と駄洒落と下ネタこそ我が人生。

無農薬を批判する その2

今回は前回とは少し傾向を変えます。
「販売用の作物に農薬を使っている農家でも、自家消費用の作物には農薬を使わない」というよくある言説(都市伝説とも言えますが)を考えてみます。

まずは、「自家消費用の作物」の定義を考えます。考えられるのは次のような場合でしょうか。
①販売用に栽培している中で売り物にならない作物(サイズ・形・色などの問題で)
②もともと自家消費用に栽培している作物

まず、①では明らかにこの言説は間違っています。この場合の販売用と自家消費用の栽培条件は全く同じですから。
こんなことをなぜわざわざ説明するのか、とお考えのことと思います。しかしながら、売り物にならない作物がある程度出るのは最初からわかっているので、自家消費するのは当然なのです。
また、「農家は自分達で作った作物は食べない。自家消費分は買って来る」と主張する人もいますが、買って来た作物を食べるより、売れ残りの作物を自家消費する方が安上がりです。ほとんどの農家は気にせず自家消費しています。

②について考えます。
この場合では、この言説は正しい場合もあります。しかし、この場合の「農家が自家消費用の作物に農薬を使わない」理由は、「農家は農薬が体に悪いことを知っているから」ではありません。
農家が農薬を使う理由は、「儲けるため」です。前回も説明したとおり、農薬を使わなければ作物の収穫量も品質も低下します。つまり、商売のためには農薬を使わざるを得ないのです。自家消費用ならば儲けを考えなくてもいいので、農薬を使わないというだけです。
農薬が最も必要となるのは、雑草や病害虫の活動が盛んになる夏です。商売を考えなくていいのならばわざわざ炎天下に農薬を散布する必要はありません。そもそも農薬自体も安い物ではありませんので、できるだけ使う量を減らしたいところです。

農家を不当に批判して苦しめるだけのデマは一日も早く消え去って欲しいと思います。