バッタもん日記

人生は短い。働いている暇はない。知識と駄洒落と下ネタこそ我が人生。

ちきりん氏のお粗末な科学教育論 続その1 華麗なる自爆

1.はじめに

先日のちきりん氏に対する批判記事は大きな反響を得ました。嬉しい限りです。
同氏がまた何やらブログで珍妙なことを書いていたようなので、再度批判したいと思います。前回全く興味がないと書いておきながら、批判を続ける私はツンデレなのでしょうか。「か、勘違いしないでよね! 科学を愛する者として科学を冒涜する者を許せないだけなんだからね!」


2.気付いていないだけ

本日(3/2)にちきりん氏が更新したブログの内容は以下に抜粋する通りです。

客がスーパーのレジに求めるもの Chikirinの日記

スーパーのレジに並ぶ時、列の長さで判断すると失敗する。大事なのは、レジ打ちスタッフのスキル(素早さ)なので、そっちから判断するのが良。特に、新人+コーチ役の2名でやってる列は相当に早い。

客側の要素としてはこれが、列の進み具合に影響を与える二大要素なわけです

レジ待ち時間に影響を与える要素は下記の通りですが、

1.レジ打ちスタッフ側
 1-a スキル
 1-b 人数(ひとつのレジ担当のスタッフ数)
2.客側
 2-a 買っている商品の数
 2-b 支払いの素早さ
 2-c 領収書請求やクレームなど、突発事項の可能性

私は、
・1が2より重要、
・2-aより2-b のほうが重要
と考えています。

これはどう考えても数学ですよね。「スーパーのレジにおける待ち時間」という「数値」に影響する様々な「条件」と、それらの条件の「影響の大きさ」を「定量的に評価」しているわけですから。情報学、社会学の分野ではこれをそのものズバリの「待ち行列理論」と呼ぶようです。単純化した形ならば、中学受験の算数で習う「ニュートン算」に含まれますね。

ちきりん氏は先日のブログで以下のように述べています。

「あたしに理科とか数学とか教えるの、ほんとーに時間の無駄!」ってことでもあります。

算数に関しても、中学校1年までに学んだことで十分で、中学校の後半以降、算数&数学の授業を受けてなくても、これまでの人生において、たぶん何の問題もありませんでした。

高校レベル以上の数学(関数)の概念を披露しておきながら、「数学は自分の人生において何の役にも立っていない」と豪語するのは酷い矛盾、自爆です。自分の考えていることが数学の範疇に含まれるということが理解できないのでしょうね。科学とは何か、数学とは何かを全く理解していない者が、「科学や数学は役に立たないから教えなくていい」などと放言しているわけです。全く理解していないからこそそういう発言ができるわけでしょうけれども。理解できないもの、関心がないものを正当に評価できるはずがありません。

先日の記事の日付が2/25で今回の記事が3/2ですから、1週間も経っていません。それなのにこれ程までに矛盾した文章を書けるというのは驚きです。自己啓発屋、売文屋としての戦略や戦術というものを考えていないのでしょうか。
「自分は数学を学ぶ必要はなかった」「科学や数学は役に立たない」などと豪語しておきながら、自分自身は数学を使っていること、日常生活の意外なところに数学が関係していることを明言しているわけですからね。


3.科学や数学はいつでもどこでも存在する

「科学」や「数学」の定義や概念をどのように設けるかによって、日常生活での有用性は全く変わります。はっきり言ってしまえば、誰の日常生活にも科学や数学は関係します。いわゆる「生活の知恵」は合理的な根拠があるものも多いわけですから。例えば、「水垢は酢やクエン酸を使えばよく落ちる」という知識は、「水垢の主成分は水道水に含まれるカルシウムやマグネシウムなどのアルカリ性金属に由来する化合物の結晶だから、酢やクエン酸水のような酸性の液体によく溶ける」という立派な科学的背景を有しています。「科学や数学は役に立たない」と述べる人は、科学や数学を狭い意味、勝手な意味で捉えているに過ぎません。科学や数学の存在に気付いていないだけ、目を逸らしているだけです。

ちきりん氏は先日の記事で、『学校教育で「生活するために必要な科学知識」を教えるべきだ』との旨を述べていましたが、それはあくまで「日常生活には科学があふれている」ということを認識させるため、科学に関心を抱かせるための契機に過ぎないわけです。導入、入り口であって目的ではありません。


4.おわりに

小中学生の皆さんは、「科学や数学は役に立たないから勉強しなくてもいい」などとしたり顔で語る大人の言うことを信じてはいけないことがよくわかりましたね。そういう人に限って科学や数学を駆使して仕事をしていたりするのです。興味がなくても、成績が悪くても少しは科学や数学を勉強しましょう。いずれ気付かないうちに役に立つかも知れませんよ。