バッタもん日記

人生は短い。働いている暇はない。知識と駄洒落と下ネタこそ我が人生。

これで貴方も疑似科学教祖 Ver.1.0

1.分野の選び方
日頃から疑問に思っていること、気に入らないことに基づいて分野を選びましょう。根拠や客観性は一切不要です。「この分野の科学は嫌いだ。だから間違っているに違いない」で十分です。
例えば、栄養学が嫌いな人は、「和食はガンを治す」とか。エネルギー工学が嫌いな人は「永久機関は可能だ」とか。

2.情報の扱い方・勉強
様々な分野の疑似科学を渡り歩くならばトンデモ本を読み漁る必要がありますが、それでは「疑似科学コーディネーター」にはなれても「疑似科学教祖」にはなれません。疑似科学教祖の役割は、他の誰かが提唱した疑似科学を紹介することではなく、独自の疑似科学を提唱することです。早い話が、オリジナリティが必要なので、ひたすら妄想に没頭する必要があります。その際には情報を遮断した方がいいでしょう。つまり、本やネットの情報は無視しましょう。
最も大事なことは、「勉強しないこと」、「何も考えないこと」です。専門書や学術論文を読むなどというのは論外です。勉強したり考えたりしてしまうと、疑似科学教祖への道は完全に閉ざされてしまいます。「デタラメであること」が疑似科学の本質なのですから、自分の主張の問題点に気付いてしまうのは完全な自爆です。
例えば、「世界初の全身麻酔を用いた外科手術は、江戸時代の日本で行われた乳がん摘出手術だ。和食ががんを治すというのは怪しい」とか、「進化論が間違っているというのならば、薬剤耐性菌が増えるのは何故だ」とか、「EMはなぜ人間の都合のみに合わせて活動してくれるのか」とか、「水が情報を記憶するならば、女子高のプールの水と男子校のプールの水では違いがあるのか」などなど。

3.人格改造
疑似科学教祖には様々な人格が要求されます。
(1)傲岸不遜・攻撃性・厚顔無恥
疑似科学は既存の科学に反するからこそ疑似科学と呼ばれます。つまり、疑似科学には根拠がありませんので、存在理由がありません。疑似科学が存続するためには、既存の科学を批判するしかありません。「あいつらはみんな間違っている。正しいのは俺だけだ」と言い続ける必要があります。ホメオパシーでもEMでも教祖が攻撃的なのはこのためです。
当然ながら、疑似科学教祖として活動すると、大きな批判を浴びます。その批判に対応しているようではとても疑似科学教祖は務まりません。批判を完全に無視して笑い飛ばすほどの度量が欲しいところです。「バカ共がまた何か言っているな。俺の言う通りにすれば幸せになれるのにな。気の毒なことだ」とか「根拠は俺だ。俺が正しいと言っているのだから正しいのだ」と言えるようになれば一人前です。
(2)被害妄想
自分の主張が理解されず、批判を浴びる理由は、「そもそも自分の主張が間違っているから」、ではなく、「敵対勢力の陰謀」と考えましょう。
例えば、「ホメオパシーが批判されるのは製薬業界の陰謀だ」とか、「菜食主義が批判されるのは食肉業界の情報操作だ」とか、「永久機関の開発者は石油メジャーに抹殺される」とか。いくらでも応用が可能です。最近では「利権」や「工作員」という用語が流行しているようです。
当然ながらこの「陰謀論」に証拠は必要ありません。「狡猾な敵対勢力が証拠を残すはずがない」と言っておけば十分です。

4.活動開始
妄想を経てオリジナルの疑似科学を設立することができれば、いよいよ疑似科学教祖としての社会活動の開始です。実際の活動としては以下のような手法が考えられます。
(1)インターネット
通信技術の発達のおかげで、パソコンと通信回線の費用さえ出せれば誰でも手軽に世界中に情報を発信できるようになりました。これを利用しない手はありません。妄想を延々書き連ねたサイトを作りましょう。
インターネットのもう一つの大きな利点は、自分が情報を発信するだけではなく、相手の反応も確認できる点です。「信者」と積極的に交流し、彼らが何を求めているのかを的確に把握しましょう。
(2)書籍
インターネットの発達前は、世間に広く情報を発信する唯一の手段だったと言えます。日本人の活字信仰は伝統的に強いため、今も昔も疑似科学を扱った書籍は山のように出版されています。残念ながら、長い出版不況と活字離れにより、書籍を出版するのは年々難しくなっていますし、書籍の権威も下がる一方です。それでも、インターネット上でしか活動していないのと、書籍を執筆しているのでは説得力が全く違います。「業績」として書籍は最高です。出版社の社長を騙すか、自費出版を受け入れてくれる出版社を探しましょう。今の相場では100万円も出せば十分可能です。
(3)講演
ここまで来れば立派なものです。既に疑似科学教祖としての地位の確立に成功しつつあると言えるでしょう。講演には「金と時間を使って参加する」、「特別な会場で開催される」という大きな特徴があります。信者の信仰をさらに強めることができます。教祖が素顔を出し、信者と直接交流することで、信者は大きな一体感を得ることができます。これはインターネットや書籍では不可能です。
また、書籍と同様に講演も大きな業績となります。全国を行脚して信者を増やしましょう。

5.演出
乱暴な言い方ですが、カルト教祖が信者を獲得する口上としては、「俺に従えば極楽に行けるぞ」と「俺に従わなかったら地獄に堕ちるぞ」の2パターンがあると思います。つまり、「信者をおだてる」か「非信者をバカにする」ということです。
疑似科学教祖もこれを真似るべきでしょう。「俺を信じるお前達はセレブだ、エリートだ、真実に目覚めた新世代だ」とか何とか。逆に「俺を信じない奴らはバカだ、クズだ、真実から目をそらす遅れた人種だ」とか何とか。ただひたすらに優越感、選民思想を植え付けましょう。


以上に述べたことを実践すれば疑似科学教祖になれるのは間違いないと思います。なぜならば、既に地位を確立している疑似科学教祖の行動を分析したものだからです。
例え疑似科学教祖になれてもなれなくても私は一切責任を負いませんので、ご注意下さい。