バッタもん日記

人生は短い。働いている暇はない。知識と駄洒落と下ネタこそ我が人生。

燃料か食料か

今回は、バイオエタノールについて語ります。海藻の話はよくわからないので、パスします。

農地で作物を栽培し、発酵させてアルコール(エタノール)を取り出して燃料として利用するものです。エタノールを燃焼させた際に発生する二酸化炭素は、元は作物が成長の過程(光合成)で吸収した空気中の二酸化炭素なので、全体で見れば二酸化炭素を発生させない、大気中の二酸化炭素濃度を上昇させないという大義名分の下、世界中で注目されています。
実際には栽培、輸送、加工などの様々な段階でエネルギーを消費して二酸化炭素を発生させているので、評価は難しいと思います。

農業から見たバイオエタノール生産の問題点は、何と言っても食料生産との競合です。世界には餓死する人間が大勢いるのに食料を燃料にするとはどういうことだ、ということです。
特に、先日述べたようにアメリカではトウモロコシがバイオエタノール生産の主体なので、批判が絶えません。ブラジルではサトウキビが主体ですが、同様の問題があります。

日本ではかなり事情が異なり、耕作放棄地の利用や減反政策の一環として国が進めており、茨木大学が担当しています。
http://www.ibos.ibaraki.ac.jp/index.html

食料と競合しないエタノール生産用作物として注目されているのが、ミスカンサス(ススキの仲間)とスイートソルガム(糖分含量の高いこうりゃん)です。どちらもイネ科の草で、草丈が3-5mになるという巨大作物です。Google等で画像検索すると驚きます。

耕作放棄地の活用、エネルギー自給率の向上という点ではよさそうですが、問題はやはりコストです。ブラジルのように広大な土地があり、人件費が安ければ採算を取れますが、日本では難しいと言わざるを得ません。
「作物の栽培と発酵」という過程を経なければならないバイオエタノールに対し、石油や天然ガスは地下や海底に埋まっている物を取り出すだけですから、時間やコストが勝負になりません。

食料生産との競合、コストなど様々な問題を抱えるバイオエタノールですが、世界的には今後も生産が拡大するものと思われます。日本はどうするのか、正解がないだけに難しい問題です。

農業の話はいつも結論がすっきりしないのが悩ましいところです。